SoftBankの訪日外国人向けWi-Fiサービスを使ってみる(.FREE_Wi-Fi_PASSPORT レビュー)

.FREE_Wi-Fi_PASSPORT とは

街中で「.FREE_Wi-Fi_PASSPORT」というSSIDを見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。このSSIDはSoftBankのWi-Fiスポットと同じ機器からブロードキャストされていますからかなり多くの場所で見かけることができるでしょう。
一度でも接続したことのある人ならお分かりかとも思いますがこのSSIDは日本に来た外国人向けに提供しているサービスですので基本的に日本人がこのSSIDに接続してインターネットを使用することはできません。
ただ、そうは言っても繁華街であればほぼどこでも見かけるこのSSIDが日本人だけ使用できないというのは大変悔しいことですので可能なら使いたいところです。SoftBankのWebサイトによると日本に来た外国人は一度登録を行うと登録から14日間、無料でこのSSIDに接続してインターネットを使用することができるようです。また、14日間の有効期限が過ぎた後でも再度登録しなおすことでさらに14日間使用することができますから現状は永久無料で使用できる無線LANサービスという認識であっていると思います。
サービスの詳細に関してはSoftBank社のWebサイトをご覧いただくとして、本記事ではこの訪日外国人向けの無線LANサービスを実際に使用したレビューをお届けいたします。
なお、このサービスは訪日外国人向けというだけであり、日本人が使用することを禁止しているものでありませんから使用するにあたり必要な環境さえそろっていれば日本人が使用しても問題ないという判断になると思います。


使用に必要なもの

.FREE_Wi-Fi_PASSPORT を使用するのに必要なものはいたってシンプル()です。
・Webブラウザと搭載したWi-Fi接続できる機器(スマホ、PCなど)
・日本以外の国で契約した携帯電話(日本でローミングが可能なもの)
この2点だけです。海外の携帯電話に関してはSoftBankモバイルの回線を使用して音声通話が可能なものに限ります。docomoやauのネットワークにのみ接続できる事業者の携帯電話やローミングが可能でもデータ通信専用で通話ができない契約のものは使用できません。なお、国際ローミングが可能で音声通話可能な状態の契約であれば国際電話が可能な契約である必要はありません。
詳細はSoftBankのWebサイトを参照してください。


利用登録をする

基本的に使用方法はSoftBankのWebサイトに記載されていますからここでは特別に紹介することはしません。
利用登録を行うには日本以外で契約した携帯電話機がSoftBankのネットワークに接続していることを確かめ、指定の電話番号に電話を掛けます。docomoやauの電波をつかんでる状態では利用登録ができませんのでその場合は手動でSoftBankを選択することになります。
例えば英語のガイダンスを希望する場合は *8180 に発信をします。
音声ガイダンスで数字4桁のパスワードが案内されるのでそれをメモするか覚えておきましょう。
登録に必要な準備はこれだけで終わりです。住所や連絡先、パスポート番号などの情報は一切提供する必要はありません。このあたりは外国人でも安心して使える仕様になっています。
また、わかりやすい案内がないため心配になる方もいるかもしれませんがSoftBankが指定した電話番号に発信する時に通話料金は発生しません。海外の携帯電話会社で相手が出なくても発信するだけで料金が発生するような契約をしている場合でもこのサービスを使うのに必要な電話は無料ですので気に掛ける必要はありません。


Wi-Fiに接続する

この記事をご覧の方には特に説明する必要はないでしょう。
特に何も考えずにパソコンやスマートフォンからSSID「.FREE_Wi-Fi_PASSPORT」に接続するだけです。
接続後は一般的な他のフリーWi−Fiスポットなどに接続した時と同じようにWebブラウザでの認証が必要になります。
電話番号(国際電話をかけるときのように国番号から入力する)と先の説明の手順で取得した数字4桁のパスワードを使用してログインします。初回のログイン時にはさらに詳細な情報を入力する登録フォームが表示されますが内容はアンケート的なもので個人情報を入力するような場面はありませんでした。

 


使用感、速度など

SSID「.FREE_Wi-Fi_PASSPORT」自体は一般的なWebブラウザ認証を採用しているアクセスポイントとなんらかわりませんので、別のAPに移動した場合の再認証の必要性など、そのあたりのめんどくささはそのままです。
また、週間ごとに新しいアカウントを作成しなおす必要がことも面倒なことでしょう。
一方で最近導入されたスポットであれば5GHz帯を使用して接続できる点や商業施設などに設置されているアクセスポイントがバックボーンに自社の固定回線を採用していることは十分に評価できると思います。
今回はわかりやすい指標として千葉県柏市内の大型ショッピングモール内に設置されたアクセスポイントに接続したときのspeedtestの結果を掲載します。



ご覧の通り、無料で使用できるアクセスポイントとしてはかなり優秀な結果を収めていると言えるのではないでしょうか。
この結果ではアップロードの速度がダウンロードに比べて著しく遅いですが、これは動画のアップロード作業を行いながらその合間に測定したためであり、別のタイミングで測定したときにはアップロードに関しても十分な速度で接続できることが確認できました。


【勝手に考察】インバウンド対策の慈善事業? SoftBank社の利益性は?

ここから先は筆者の個人的な見解ですのであくまでも一人の意見として読んでいただきたい部分です。

今までの説明で無料で使用できるサービスとしては他に類をみないスポット数と高信頼であることを書いてきましたが、一般的な日本の契約者は使用できません。
携帯電話会社が提供しているサービスですので自社のサービスを契約していない人に使わせる義理などないと言えばそれまででしょうがなぜ海外の契約者にだけ無料で開放しているのでしょうか。
ある程度は外国に向けたSoftBankブランドの宣伝やこれからオリンピックを控える日本においてのインバウンド対策の慈善事業、あるいは若干の公的な補助金等があるということも考えられるかもしれませんが、まったくの収益ゼロなサービスを提供するとはあまり考えられません。
ということで間接的にSoftBankにお金が入る方法を考えてみました。

筆者の考えではこのサービスの一番のミソは電話発信をしないとログインパスワードが取得できないということです。
ログインパスワードを取得するにはローミング携帯電話でローミングキャリアとしてSoftBankに接続していないといけません。そのため、もしも自分の携帯電話が例えばdocomoに接続されていた場合には手動でSoftBankを選択しなおす必要があるのです。パスワードを取得した後であればもちろん元のキャリアを選びなおすこともできますが一般的にはどのキャリアに接続されているかなどどうでもいいことですので特に気にしない人であればそのままSoftBankに設定したままにするでしょう。
おそらくここが一番のポイントなのですが、ローミング時にSoftBankは発着信ともにホームロケーションのキャリア(契約場所、この場合は海外キャリア)から接続料をもらうことができます。そのため、外国の契約者がSoftBankに接続した状態で電話を受けたり発信したりするとSoftBankにローミング接続収入が入るわけです。
つまりWi-Fi接続そのもので収入を得ることができなくても無料でWi-Fiを使うためにキャリアをSoftBankに固定し、その状態で使ってくれればそれだけで収入が入るのです。
ここでもし電話を使ってくれなかったら収入が入らないのではないかと思うかもしれませんが、携帯電話の契約者が代金を支払う必要のない通信(キャリアからのお知らせSMSなど。特にローミング中などは海外パケット定額の案内などが毎日届くこともある。)でもSoftBankには収入が入るので問題ないのです。

このサービスを使うかどうかを判断するのは海外キャリアではなく携帯電話の利用者です。そしてその利用者は代金を支払う必要がないのにSoftBankには結果として収入が入る余地があるわけです。
こう考えるとSoftBankのこの外国人向けWi-Fiサービスがいかに良くできたビジネスモデルであるかが理解できることでしょう。